台湾では、毎年4月初旬に連休があります。
4月4日は台湾の子どもの日、そして4月5日は清明節というお墓参りをする日です(年によって多少前後することあり)。
今回はなかなか知る機会のない、台湾のお墓参りやお墓事情についてお伝えします。
※お墓の写真を撮ることは台湾ではタブーとされていて撮影できないため、写真は日本におけるお墓参りのイメージ画像です。
もくじ
年に一度のお墓参りの日・清明節
日本ではお盆やお彼岸、命日など、年に数回お墓参りに行きますよね。
でもここ台湾では、4月の清明節のときにしかお墓参りをしません。
そして、その年に一度のお墓参りが、ときにまるで山登りのように過酷なんです……。
「お墓参りで山登り?」と不思議に思いますよね。その理由をお伝えします。
お墓の場所は風水が重視される
なぜお墓参りで山登りなのか、それはお墓が山の奥など辺鄙なところにあることが多いからです。
日本以上に風水や占いを気にする人が多い台湾や中国では、お墓の場所や方位がとても大切。
台湾では今は日本と同じく火葬が主流ですが、昔は土葬が主流でした。
祖先のお墓の場所・方位によって子孫が出世する・お金持ちになるとされてきたため、埋葬する場所は本当に重要だったんですね。
また、風水の良し悪しは生年月日・生まれた時間で異なるため、お墓の場所や向きもバラバラ。
さらに基本的にお墓は一人につき一基であるため、子孫はあちこちにお墓参りに行かなければなりません。
ということで、お墓参りもほぼ一日がかりというわけです。
お墓を管理してくれる人も特にいないので、一年ほったらかしにされたお墓は雑草だらけ。
お墓参りはまずその雑草を取り除くところから始まるため、長靴や軍手、草取り鎌は必携です。
最近ではロッカータイプの納骨堂が人気
一日であちらこちらに行くのを避けるため(他にも理由はありますが)、最近は寺院などにある納骨堂が人気だそうです。
これなら辺鄙な場所に行くことなく、草取りなどもする必要がないので、お墓参りの時間も大幅に短縮されます。
筆者の台湾家族の祖先も何人かこの納骨堂にお骨が収められているため、何回か行ったことがあります。
ずらりと並んだロッカーの中に骨壷(亡くなった方の小さい遺影が貼られていることも)が収められていて、お参りのときはロッカーを開けてお参りします。
筆者は日本ではこのような共同納骨堂には行ったことがなかったため、初めて行ったときはとても驚きました。
家庭によっては清明節より早めにお参りすることも
清明節当日(または清明節の連休中)にお墓参りに行くと道もお墓も混雑していて大変、ということで、家族によっては3月頃から早めにお墓参りに行くこともあります。
筆者の台湾家族もそのタイプで、3月のどこかの週末に親戚一同予定を合わせてお墓参りに行きます。
台湾には主に外省人・閩南人・客家人そしてたくさんの種族の原住民族が住んでいます。
それぞれお墓参りに行く時期は少しずつ異なり、特に閩南人・客家人は以下の時期にお墓参りに行くことが多いとのこと。
閩南人:旧暦3月3日の前後2週間以内
台湾北部の客家人:旧暦1月15日を過ぎた頃から
台湾南部の客家人:旧暦1月1日から旧暦3月3日まで
筆者の台湾家族・親戚は閩南人ですが、この時期には当てはまっていませんでした。
これはあくまで目安なので、やはり多くの人が集まれる日に行くようにするなど、それぞれの事情によるのかもしれませんね。
ちなみにお墓参りでは、冒頭でお伝えした「お墓の写真を撮ってはいけない」以外に
・派手な服を着て行ってはいけない
・乳幼児・妊婦さんは行ってはいけない
などいくつかのタブーがあります。
清明節のお墓参りで食べるもの
清明節のときには、いくつか食べるものがあります。
ゆで卵
お供え物として必ず持っていくゆで卵。
ご先祖様にお供えし、お参りが終わったらその場で殻を割って親族一同でいただきます。
ゆで卵の殻は持ち帰らず、なんとお墓の周りに撒きます!
これはご先祖様に思いを馳せて、感謝する行為なのだそうです。
おもしろい風習ですよね。
お墓が点在していて何箇所も行かなければならない場合だと、各お墓でゆで卵を食べることになります。
筆者も続けて2個くらい食べたことがありましたが、そのときは「もう十分……」となりました。
潤餅(ルンビン)
清明節のときに食べるものとしてもう一つ有名なのが潤餅(ルンビン)という料理です。
(筆者の台湾家族は清明節のときには食べる習慣はありません)
潤餅(ルンビン)は、クレープのような薄い皮に肉や野菜、砂糖、粉状のピーナッツなどをたっぷりと包んだもの。
清明節のとき以外にも、台湾の夜市などで売られていることもあるので、見つけたらぜひ食べてみてくださいね。
おわりに
台湾のお墓参りの風習は、日本(本州)のそれとはかなり異なりますね。
お墓に行くのは年に一度きりではありますが、家族・親戚の結びつきが強い台湾ですから、ご先祖様を思う気持ちも強いはず。
この気持ちは日本と同じなのではないでしょうか。