日本は苗字の種類が多く、名前もひらがな・漢字・カタカナとさまざまなバリエーションがありますよね。
一方、漢字圏の台湾は名字も名前も当然どちらも漢字であるわけですが、どういった苗字・名前が多いのでしょうか。
また、台湾には名前に関する驚きの習慣が……!では、さっそく見ていきましょう。
もくじ
台湾では一生に3回まで名前が変えられる!
「中学校卒業までは張○○で、高校からは張△△」。
これは、実際に筆者の身近にいる名前を変えた人の一例です。
台湾ではなんと、一生に3回まで名前を変えることができるんです!
改名できる回数は2015年の5月までは一生に2回まででしたが、姓名条例が改正され3回になったとのこと。
日本では戸籍に載っている本名を改名しようとする場合、正当な理由が必要とされ、手続きも家庭裁判所に申請するなど、複雑で手間もかかります。
でも台湾では、裁判所での手続きなどは必要なく、かなり簡単です。
(日本で結婚した女性がパスポートや銀行などの名義変更するのと同様の手間はあるかと思いますが、改名自体は日本と比べるとずっと簡単!)
改名する理由として多いのが、「運を良くしたいから」。冒頭に登場した筆者の友人も、その理由でした。
何をもって運がいい・悪いと決めるのか、その感覚はわからないですが、開運のために改名が認められるというのは驚きですよね。
他の理由としては、字面(意味)が美しくない、身近なところで同姓同名の人がいて不便な思いをしているといったもののようです。
漢字の国とはいえ、苗字が一文字でさらに種類も多くないですから、下の名前がかぶってしまうことも少なくないのかもしれません。
不思議だらけ!台湾人の名前
簡単に改名できる、ということだけでもかなりの驚きかと思いますが、台湾人の名前に関しては、他にも不思議なこと・日本とは考え方が違う点がいろいろあります!
子どもの名前は占いで決めることが多い
日本では、子どもの名前は親や祖父母が時間をかけて姓名判断なども参考にしながら考え、“親から子への最初のプレゼント”ともいわれるほど大切なものと捉えられているかと思います。
でも台湾では、子どもの名付けは占いが一般的(親が考えることももちろんあります)。
生まれた日時を占い師に伝えて、10程度候補を出してもらってそこから選ぶことが多いようです。
比較的簡単に改名できることからも、名前に対する思い入れが日本人とはかなり異なることがわかりますね。
名前を決めるときに注意が必要なのが名前の響き。
中国語だけでなく、台湾語で変な意味にならないかなどにも気をつける必要があるようです。
名前を呼ぶときはフルネーム?!
日本では、学校や職場などでは苗字+くん・さん付けで呼ぶことが多いですよね。
でも台湾では、日本のそれにあたる表現(苗字+先生・小姐)は面識のない人を呼ぶとき(病院や銀行、レストランなど)に使うのが基本のようです。
同僚や友達など、ある程度面識がある・親しい人の場合は下の名前を呼び捨てするか、ニックネームで呼ぶことがほとんど。
日本だと呼び捨てはやや不躾な印象がありますが、台湾ではそういう印象はないようですよ。
また、台湾のドラマなどを見たことがある方はその中で見たことがあるかもしれませんが、ときにはフルネームで相手を呼ぶことも。
フルネームで呼ぶのは親しい間柄(親子や仲の良い友達など)でのみ許されるそうです。
英語名を持っている台湾人も多い
台湾人の名前は、台湾人以外にとってはなじみのない音で、覚えにくい・発音しづらいといった問題が出てくることも。
そのため、本名とは別に英語名を持っている台湾人も少なくありません。
筆者はこれまで出会ったことがありませんが、英語名をメインに使っている台湾人もいるようです。
(日本語を勉強している台湾人は、日本語名を持っていることもある)
たしかに、台湾の有名な芸能人も、日本ではジェイ・チョウ(周杰倫)やアリエル・リン(林依晨)、レイニー・ヤン(楊丞琳)などの英語名が一般的に使われていますよね。
「英語名だけ覚えていて、本名知らなかった……」ということもありそうです。
ときどき「これって英語?」と思うような英語名を見ることもあるのですが、もしかしたら他の外国語の名前を気に入って、英語名として使っている人もいるのかもしれません。
台湾人にとっては長すぎる、日本人の姓名
苗字一文字(長くても二文字)+名前二文字(一文字の場合も)で三文字の姓名が多い台湾人。
日本人の名前はどうやら長すぎようです。
以前、同僚の日本人に苗字・名前ともに三文字ずつの人がいましたが、名前を初めて見た台湾人たちは戸惑っていました。
台湾人なら姓名で三文字で完結するところが、苗字だけで三文字ですから、戸惑うのも無理はないでしょう。
台湾人の苗字、多いのは?
日本は世界でも有数の苗字大国で、約29万種類もの苗字があるとされています。
一方、台湾はわずか1,500種類程度。
同姓同名の問題が多く発生してしまうのも仕方がないのかもしれません。
苗字についてもいろいろ見ていきましょう。
台湾で多い苗字TOP10!稀少な苗字もある?
2018年の全国姓名統計分析によると、台湾で多い苗字TOP10は多い順から陳、林、黄、張、李、王、呉、劉、蔡、楊とのこと。
第1位に輝いた“陳”さんの人数は約260万人で、人口の約11%を占めているそうです。
TOP10の苗字の人数となると、台湾の人口の約半数を占めているとのことでした。
日本にも各地にあまり見られない珍しい苗字がありますが、台湾バージョンの珍しい苗字も見てみましょう。
漢字一文字の苗字では、瓜・娘・紫・多・少・母・鹿・豹・獅・但など、二文字の苗字では第五などがあるとのこと。
第一~第四などではなく、なぜ第五なのでしょうか?なんとも不思議です。
これらの苗字の人は台湾でも1~2人しかいない本当に稀少な苗字だそうなので、もし出会えたら奇跡かも?!
昔は一般的だった“冠夫姓”
“冠夫姓”とは、結婚した女性が夫の姓をもともとの姓の前につける、というシステムのことです。
(例:陳さんという女性が、王さんという男性と結婚→王陳という苗字に)
現代の台湾では基本的に夫婦別姓ですが、昔は冠夫姓が一般的だったようです。
結婚すると夫の姓になる日本人としては、不思議なシステムですよね。
なお、歐陽や上官、司馬、南門といったもともと二文字の苗字もあります。
筆者は8年以上台湾に住んでいますが、冠夫姓以外で二文字の苗字の台湾人には出会ったことがありません。
おわりに
開運のために名前を変える、というのは、親からもらった名前を大事にする日本人にとってはなかなか衝撃的なことでしたね。
占いを重視する人が多い台湾人ならではの考え方なのかもしれません。
なかなか出会えない台湾の珍しい苗字を探して(?)、台湾旅行時はぜひ台湾人と積極的に交流してみてくださいね!